ワークエンゲージメントとは?構成する3つの要素や効果的に高める方法をご紹介!

現代において、企業の成長や成功には、従業員の「ワークエンゲージメント」の向上が不可欠な要素となってきています。

ワークエンゲージメントは、従業員が仕事に対してどれだけ情熱を持ち、積極的に関わっているかを示す指標で、エンゲージメントが高い従業員は、仕事に意義を感じ、成果を上げるだけでなく、企業の成長に大きく貢献します。

近年では、リモートワークやフレキシブルな働き方が広がり、従業員のエンゲージメントが特に重要視されるようになっています。本記事では、ワークエンゲージメントとは何か、その構成要素や関連する概念、そしてエンゲージメントを高めることで得られるメリットや方法について詳しく解説していきます。

目次

ワークエンゲージメントとは

ワークエンゲージメントとは、従業員が仕事に対して持つ積極的な態度を指し、企業の生産性や従業員の満足度に大きく関わるものです。

現代の企業や組織において非常に重要な概念であり、従業員がエンゲージメントを感じる職場では、仕事がただの義務ではなく、充実感や達成感を伴うものになります。

これにより、組織全体の生産性、創造性、従業員の幸福度、そして企業の競争力に大きな影響を与えることが知られています。

ワークエンゲージメントを構成する3つの要素

ワークエンゲージメントは主に以下の3つから構成されています。

活力(Vigor)

活力は、従業員が仕事に対してどれだけエネルギッシュに取り組んでいるかを示します。エンゲージメントの高い従業員は、疲れにくく、困難に直面してもポジティブに対処しようとします。彼らは高いエネルギーを持ち続け、仕事に向かっていく意欲が強いです。

献身(Dedication)

献身は、従業員が仕事にどれだけ深く関与し、熱意を持っているかを示します。エンゲージメントの高い従業員は、仕事に強い誇りを持ち、その意義を感じながら取り組んでいます。彼らは組織のビジョンに共感し、企業の成功を自らの使命と感じているのです。

没頭(Absorption)

没頭は、従業員が仕事にどれだけ深く集中しているかを示します。エンゲージメントの高い従業員は、仕事に没頭し、時間を忘れるほどの集中力を持っています。仕事が非常に魅力的であり、外部のストレスや雑念から切り離された状態で仕事に取り組むことができます。

ワークエンゲージメントと関連する4つの概念

ワーカホリズム(Workaholism)

ワーカホリズムは、仕事に過度に依存し、労働時間が長くなる一方で、仕事への満足感や効率が低い状態を指します。ワーカホリックな従業員は、休息を取ることが難しく、仕事に対して過度のプレッシャーやストレスを感じることが多いです。ワークエンゲージメントとは対照的に、ワーカホリズムでは仕事に対する内的な喜びや充実感が欠けています。

ワークエンゲージメントがポジティブな関与を指す一方、ワーカホリズムはネガティブな過剰労働の一例です。従業員が過度に仕事にのめり込み、自己の健康やプライベートを犠牲にする場合、エンゲージメントの向上どころか逆効果となり、企業全体の生産性にも悪影響を及ぼす可能性があります。

バーンアウト(Burnout)

バーンアウトは、過度なストレスや長期間にわたる仕事の負荷により、従業員が精神的・身体的に疲弊してしまう状態を指します。バーンアウトの症状には、無力感、興味の喪失、エネルギーの枯渇などがあり、仕事に対して情熱を持つどころか、日々の業務が重荷に感じられます。


バーンアウトは、ワークエンゲージメントの対極に位置する概念です。ワークエンゲージメントの高い従業員は、エネルギーやモチベーションを持って仕事に取り組みますが、バーンアウト状態の従業員はその逆で、仕事に対する関与が低く、積極的に取り組むことが難しくなります。

職務満足感(Job Satisfaction)

職務満足感は、従業員が自身の仕事に対してどれだけ満足しているかを測る指標です。仕事そのもの、上司や同僚との関係、給与、ワークライフバランスなど、さまざまな要因が職務満足感に影響を与えます。


ワークエンゲージメントとは異なり、職務満足感が高いからといって必ずしもエンゲージメントが高いわけではありません。職務満足感が高い従業員が、必ずしも仕事に積極的に関与し、創造的な成果を上げるわけではなく、単に「満足している」だけの場合もあります。一方、ワークエンゲージメントが高い従業員は、仕事に対して情熱を持ち、成果を出すことに積極的です。

ES(従業員満足度:Employee Satisfaction)

従業員満足度(ES)は、従業員が職場や企業に対してどれだけ満足しているかを示す指標です。ESは職務満足感と似ていますが、こちらはより組織全体に対する満足度を表します。従業員満足度が高い企業は、従業員が働きやすい環境を提供し、モチベーションを高める仕組みが整っている傾向があります。

ESが高い職場は従業員の離職率が低く、エンゲージメントの向上にもつながりますが、ESが高くてもワークエンゲージメントが必ずしも高いとは限りません。従業員満足度を向上させるだけでなく、従業員が積極的に業務に関与し、意欲を持って働くエンゲージメントを高める施策も必要です。

ワークエンゲージメントを高めるメリット・影響

生産性の向上

ワークエンゲージメントが高い従業員は、自ら進んで仕事に取り組み、成果を上げようとする意識が強いです。彼らは仕事に対して情熱を持っているため、困難な課題にも積極的に挑戦し、生産性の向上に寄与します。エンゲージメントが高い従業員は、自律的に問題解決を図り、効率的に業務を進めることができるため、結果として企業全体の生産性が向上します。

さらに、エンゲージメントが高い職場では、従業員間の協力も活発です。お互いに助け合いながら業務を進めることで、チーム全体の生産性が大きく向上します。

離職率の低下

エンゲージメントが高い従業員は、職場に対して高い忠誠心を持ち、企業に長く貢献し続ける傾向があります。彼らは自身の仕事や役割に満足しており、キャリアを企業内で発展させたいと考えています。そのため、エンゲージメントが高い企業は従業員の離職率が低く、結果として人材の定着率が高まります。

離職率の低下は、企業にとって大きなコスト削減につながります。新たな人材を採用し、トレーニングを行うコストを削減でき、さらに企業内の知識やスキルが蓄積されるため、長期的な組織力の向上にも寄与します。

CS(顧客満足度)の向上

ワークエンゲージメントが高い従業員は、顧客に対しても高い意識を持っています。エンゲージメントが高い従業員は、自社の製品やサービスに誇りを持ち、顧客に対してより良い体験を提供しようと努力します。その結果、顧客満足度(CS)も向上し、顧客ロイヤルティが高まります。

また、エンゲージメントが高い従業員は顧客のニーズを的確に把握し、迅速に対応することができます。これにより、企業は競争力を維持し、顧客との長期的な関係を築くことができるのです。

イノベーションの促進

ワークエンゲージメントが高い従業員は、現状に満足せず、常に新しいアイデアや改善点を探っています。彼らは、自分の仕事に対して積極的に取り組み、自己成長を図りたいという意欲を持っているため、自然とイノベーションが促進されます。

エンゲージメントの高い職場では、従業員が新しい視点やアイデアを共有しやすい環境が整っています。企業は、こうしたイノベーションの文化を育てることで、競争優位を築き、新たな製品やサービスを生み出し続けることが可能です。

メンタルヘルスの向上

ワークエンゲージメントが高い従業員は、仕事に対してポジティブな感情を持っており、ストレスを感じにくい傾向にあります。エンゲージメントの高い職場では、従業員が自己の役割や仕事に対して意義を感じ、充実感を持って取り組むため、メンタルヘルスが向上します。
さらに、エンゲージメントが高い職場では、同僚や上司とのコミュニケーションも活発であり、ストレスを感じた際に適切なサポートを受けられる環境が整っています。結果として、従業員のメンタルヘルスが向上し、欠勤やバーンアウトのリスクが低減されます。

ワークエンゲージメント向上に必要な2つの要素

ワークエンゲージメントを高めるためには、従業員個人と職場環境の両方に適切な資源を提供することが重要です。ここでは、ワークエンゲージメント向上に必要な2つの要素について詳しく説明します。

個人の資源

個人の資源とは、従業員が仕事に対してポジティブに関わるために必要な心理的・スキル的な要素を指します。これには、自己効力感(自分は仕事をうまくこなせるという自信)、回復力(困難を乗り越える力)、適切なストレス管理能力などが含まれます。

従業員が個人の資源を持っていると、自己成長を促進し、困難な状況でも積極的に取り組む姿勢を維持できます。企業は、トレーニングやキャリア開発プログラムを提供することで、従業員のスキル向上をサポートし、エンゲージメントを高めることが可能です。

仕事の資源

仕事の資源とは、従業員が効果的に業務を遂行するために必要な職場環境やサポートのことです。これには、適切な上司からのフィードバック、同僚との協力、明確な役割や責任、十分なツールや設備などが含まれます。

仕事の資源が豊富に提供されることで、従業員は自分の仕事に対して安心感を持ち、積極的に業務に取り組むことができます。また、仕事の資源は、従業員がバーンアウトを防ぐための重要な要素でもあります。企業は、従業員がストレスなく仕事に集中できる環境を整えることで、エンゲージメントの向上を支援できます。

ワークエンゲージメントの尺度と測定方法

ワークエンゲージメントの向上を図るためには、現在の従業員のエンゲージメント状態を正確に測定することが重要です。エンゲージメントを測定するための標準的な尺度と方法には、以下の3つがよく使用されます。

MBI-GS(Maslach Burnout Inventory – General Survey)

MBI-GSは、従業員のバーンアウトを測定するためのツールとして広く使用されていますが、エンゲージメントの状態を把握する際にも役立ちます。

MBI-GSでは、従業員の感情的疲労、シニシズム(仕事に対する冷めた態度)、自己達成感を測定し、従業員がどの程度バーンアウトしているかを評価します。
エンゲージメントが低下している場合、MBI-GSによってバーンアウトの兆候を早期に発見し、対応策を講じることができます。

OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)

OLBIは、バーンアウトとエンゲージメントを測定するためのツールで、従業員の疲労と疎外感に焦点を当てています。

OLBIは、従業員のエネルギーレベルや、仕事に対する関与度合いを測定するために使用されます。エンゲージメントの高い従業員は、OLBIの測定結果において、疲労感が少なく、業務に積極的に関与していることが示されます。

UWES(Utrecht Work Engagement Scale)

UWESは、ワークエンゲージメントを測定するための最も広く使われている尺度です。UWESでは、「活力」「献身」「没頭」という3つの要素を評価し、従業員がどの程度仕事に対してエンゲージメントを持っているかを測定します。

UWESを使用することで、エンゲージメントの高い従業員と低い従業員を明確に区別し、具体的な改善策を講じることが可能です。

ワークエンゲージメントを高めてより良い会社にしていきましょう

ワークエンゲージメントを高めることは、企業の成長にとって不可欠な要素となってきています。エンゲージメントが高い従業員は、仕事に情熱を持ち、生産性を向上させるだけでなく、企業の競争力を高めるためのイノベーションの創出も期待できます。

企業としては、従業員に適切な環境や成長機会を提供し、個々の成長を支援することで、エンゲージメントを高める取り組みを積極的に行う必要があります。

エンゲージメントの状態を定期的に測定し、課題があれば迅速に対応していきながら、より良い職場環境の構築を目指していきましょう。

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